1月15日(現地時間)、ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)が開催したショーに、若者に絶大な人気を誇るマシン・ガン・ケリーがライブ出演。ブランド777経験や知識にとらわれない新世代の自由な感性を祝したコレクションを披露した。
ドルチェ&ガッバーナの華やかさとグラマラスなエンターテインメント性は、決して期待を裏切らない。ショーに足を運べば、まるでチケットが取れないほど人気のミュージシャンのライブに行くような期待感を抱き、毎シーズンどうすればこれほどまでに一貫して素晴らしいショーを行うことができるのかと不思議にすら思う。
Z世代がファッションやカルチャーに対して抱く渇望をいち早く察知したデザイナーデュオは、実にセンセーショナルなショーを作り上げた。ミーガン・フォックスと婚約したばかりのマシン・ガン・ケリーという、今ネットで最も話題のカップルを完璧なタイミングでショーに登場させたのだ。最前列でフォックスに見守られながら、ケリーは見事なウォーキングを披露し、無数のスタッズやクリスタルをあしらったオーダースーツなど3ルックを着こなした。さらに、ヒット曲「My Ex's Best Friend」を歌い、会場の盛り上がりは最高潮に達した。
ショーの前に行われたカンフェレンスで、デザイナーたちはマシン・ガン・ケリーの才能と美に対する感覚を賞賛していた。彼の起用は、SNSに精通していることを示すだけでなく、ターゲットである若い世代の考え方や動向に注目していることを明らかにしている。二人は時代の流れを理解することが何より重要だと考え、新しいルールに沿ってやり方を調整していくことは、クリエイティブな観点からも刺激的だと捉えているのだ。
「私たちは我々自身に挑戦しています。これまで慣れ親しんできたものすべてに疑問を抱いています。物事は必ず変化していくもの。私たちはその変化を受け入れ、進化につながる新しいものを経験したいのです」とステファノ・ガッバーナは言う。それに対し、ドメニコ・ドルチェは「快適な場所に留まることは、もはや快適ではないのです」と付け加えた。
ケリーのライブパフォーマンスのみならず、その他の新進気鋭のアーティストたちとのコラボもハイライトのひとつだ。デザイナーが追求するメタバースワールドへの美学が表現され、ビッグサイズのスウェットや大きく膨らんだパンツには、マルチアーティストであるロッコ・ペッセッラの自由なグラフィティが描かれている。ちなみに、NFTの流れにいち早く乗った彼らは、最近9点のデジタルコレクションをオークションで販売し、総落札額は約6億円に達した。
ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)が若い世代に感じる最大の魅力は、経験や知識にとらわれないのびのびとした感覚で自由なスタイルを楽しむところにあるという。「ありきたりで綺麗にまとめられたワードローブには新鮮さがありません。大切なのは、個性とアティテュードなのです」
今回のコレクションは、Z世代の自己表現に対する天性の洞察力によって生まれる大胆なスタイルを讃えたものだ。過激になることを恐れず、メンズウェアは新しい領域へと大きな一歩を踏み出そうとしている。プロポーションは誇張され、黒と白のロゴがあしらわれたダウンジャケットはまるでインフレータブルのようなボリュームで体を覆い、フルレングスのコートからは胸もとやブリーフが露わになり、ディアマンテのネックレスで華やかさをプラス。
また、グラマラスなエコファーもフィーチャーされた。リアルファーの使用を中止したドルチェ&ガッバーナだが、彼らの美学にも通ずるファーならではの官能性と視覚的なインパクトを諦めてはいない。とはいえ、この試みは将来的にブランドを徹底的にサステナブル化するという誓いを示している。
「私たちにとってのサステナビリティは、技術、調達、生産だけに適用するものではありません。これらの高品質なエコファーは、小さなアトリエで、以前リアルファーを扱っていた毛皮職人によって作られています。私たちにとってサステナビリティとは、伝統的な技術の知識を守ることでもあるのです。そのノウハウが失われていくのを防ぎ、職人たちの仕事と未来を確保することは、私たちの大きな誇りです」